時間の外に立つ

 『完訳版 失われた時を求めて12 第七篇 見出された時』(鈴木道彦訳、集英社文庫ヘリテージシリーズ、2014第3刷)の本編終わりあたり、芸術に関する記述のあたりを読んでいる。

 そこで語り手が語ることは難しく、私には全てを理解できてない、そのほんの一握りも理解できている気がしないと感じるのだが、なんだか先を急いで読み進めてしまっている。

 

 プルーストが亡くなるまで書き続けて書き加えていた作品で、第七篇もプルーストの死後、完成版ではないものをいろいろな人が内容を精査して出版している。

 改めてプルーストの熱意やそれを出版したり翻訳したりする人たちの熱意に感動する。そして今こうして読めている状況に感謝したい。

 

 読む前、フランスの第一次世界大戦の状況は私から全く遠いものだった。

 シャルリュスの言動やそこに関わる人たちの様子も興味をひくものだった。考えても仕方のないことだが、今シャルリュスが生きていたらどんなかしらんなどと思ってみたりもした。