疫病と政治の混乱

 伊藤博萬葉集釋注三』(2005第1刷、2011第2刷)を読み終えた。

 『万葉集』巻第六の最後21首(歌番号1047〜1067)は、田辺福麻呂(たなべのさきまろ)の歌。

 恭仁京や難波の宮への遷都に合わせて、新都を讃めたり旧都の荒みを哀しんだりする歌を読んでいる。

 当時の天皇聖武天皇。彼は大仏を作る詔や開眼法要までした人だが、短期間にいろいろなところへ遷都したりして、付き従う人たちは大変だったろうと思う。役人ではない普通の人たちも大変だったろうと思う。当時は天然痘が流行ったりもしていたようだし、墾田永年私財法も出ている。

 当時とコロナの感染が止まらない今を重ね合わせてもみてしまう。

 歌には、山や川や海や花や鳥や、が詠まれている。タイムマシンでもあったら当時の様子:自然や人々の暮らしぶりを見に行きたいものだと思う。

 空は今と違って、高く広かったのだろうか、夜の暗さはいかほどだったのだろうか、と思う。