萬葉集

 集英社ヘリテージシリーズの一つ、伊藤博萬葉集釋注一』(2005第1刷、2010第2刷)をやっと読み終えた。全部で10冊あるので、ペースを上げていきたい。1冊に萬葉集2巻ずつの収録。

 一つずつの歌を一つずつばらばらに読むのではなく、前後の歌の関連も踏まえて物語のようにして読んでいくのがこの本の特徴。一つずつばらばらに読むより気づけることもあって面白かった。

 がしかし、色々な研究の成果や文献からわかることなども織り交ぜて説明してくれている全てを理解したかというと、そうではなくて年号などうやむやにして読んでいた箇所も多数で反省。一方で、いろいろな文献をあたれば、一千年以上前のこのようなことまでわかるのかということに驚かされた。

 漢字の読み方がわからず、ふりがなを何度も見直したりもしたが、当時の読み方が今と違っていてそれも面白かった。萬葉仮名を読んだ人も書いた人もすごい。

 天智天皇も多いが、天武天皇の子の多さと妻の多さにも改めて驚かされた。誰が誰だかわからず、何度も系統図に戻ったりもした。

 

 大伯皇女が同母弟・大津皇子を思って歌う105-106(巻第二の相聞)や163-164(巻第二の挽歌)、有間皇子の歌141-142(巻第二の挽歌冒頭)は背景を知ると思い詰まるものがあるし、柿本人麻呂が妻と別れた後に歌った131(巻第二の相聞、石見相聞歌のはじめの長歌)の「靡けこの山」はかっこいい。

 巻第一の言葉遊びのような歌も面白かった。遺言によって火葬された持統天皇の生き様も興味深いものだった。