家持

伊藤博萬葉集釋注十』(2005第1刷、2012第2刷)のうち、『万葉集』巻第十九にあたる部分、歌番号4139〜4292、154首を読み終えた。

橘諸兄の70歳のお祝いの歌、最後から4首めの解説がなかなか興味深かった。

すごい人だとずっと思ってきた人のお祝いで、思いもよらない光景や勢力の衰退を見たのではないか、といった推察。

巻第十九は、春苑の桃李の花に始まり、梅やほととぎす、藤の花はじめ、花鳥雪月取り合わせの歌、池主に鵜を送る歌、古歌、京に残る大坂女郎に贈る歌、越中を後にする別れの歌、興によりて作る歌、予め作る歌、宴での歌などなど。

家持は、秋ではなく春物思いに耽ったり、居ても立ってもいられず外に出てみるけれど、それでも心が晴れなかったりする。