こんなに違うもの

 伊藤博萬葉集釋注六』(2005第1刷、2011第2刷)を何とか読み終え、『萬葉集釋注七』(2005第1刷、2012第2刷)を読み始めた。

 毎回思うのだけれど、今回は、特に、その収録和歌の種類の違いのようなものに驚いている。

 『釋注六』は萬葉集の巻第十一と巻第十二の歌が載っていて、歌番号は2351〜3220で全870首。旋頭歌を一部含むけれど、基本短歌で古今の相聞歌(恋の歌)が収録されている。

 一方の『釋注七』はまだ読み始めたばかりだけれど、まず雑歌(公的な場で披露された様々な歌)の長歌とそれに付随して短歌が場所別に並んでいる。

 

 『釋注六』で、会いたい・会えない・思ってる・忘れられない・忘れたい・人の目が...・わびしい・さみしい・悲しい・うれしいなどの歌を、追って読んでいくのは気が変になりそうにもなったけれど、読み終える頃にはそれに慣れてしまっているので、『釋注七』に行くと別世界にいるような感じになる。

 「万葉集」が巻によって、こんなにも違うものだとは思わなかった、というのが読んでみての感想。

 

 また、万葉仮名はじめ、文字と音の関係が面白いな、ということも思うと同時に、漢字以前はどんな風に言葉を記録していたのだろうか、記憶していただけなのだろうか、いきなり漢字導入で書記が始まったのだろうか、などとも思う。

 名の由来の説明もほんとかどうかわからないけど、面白い。例えば、「雁」はカリカリと鳴くから「雁」らしい。ほんとに?!と思ってYoutubeで鳴き声を聞いてみたが、カリカリと鳴いていたので可笑しい。